ここでは不動産担保ローンを利用して借り換えや、複数の借入の一本化を行った事例の紹介をしています。
手軽に借入ができる消費者金融は庶民の強い味方ですが、借りやすいことが裏目に出て返済に行き詰まる例も少なくありません。2010年6月に完全施行された改正貸金業法では、借入残高の合計が年収の3分の1を超える借入ができなくなりました。
同法が施行される前からすでに年収の3分の1を超える借入残高がある人では、新たな借入ができず返済だけを延々と続けていかなければならなくなってしまいました。せめて借入金を一本化できれば返済計画が立てやすくなるのですが、もともとの借入総額が総量規制で定められた枠を超えてしまっているため、新たに借入総額と同等のローンを組むこともできません。
しかし不動産担保ローンでは自宅以外に担保となる不動産物件があれば、年収の3分の1を超える金額についても融資を受けることが可能です。いつ終わるとも知れない消費者金融からの借入を清算して、返済の目処が立ちやすい年利・返済額・返済回数のローンに組み換えることは、新たな人生設計の第一歩にもなり得るでしょう。
不動産担保ローンで借り換えや借入の一本化を実行した融資の事例を紹介します。
消費者金融など5社から合計300万円の借入がある会社員(男性)の例です。
毎月の返済額が10万円を超えていることから生活が圧迫されて、返済しては借りる生活を続けて一向に完済の目処が立たなくなっていました。このままでは一生利息を払い続けるだけと両親に相談して、父親名義の土地を担保に不動産担保ローンで借金の一本化を図りました。金利8%、5年返済で300万円を借り入れ、毎月の返済額は6万円に減額。生活に余裕ができた上、5年で完済できる目処も立ちました。
不動産担保ローンで700万円を年利16%、10年返済で借り入れていました。毎月の返済額は11万7,259円。さらに消費者金融からも300万円借り入れたことから月々の返済額が20万円を超えて、生活に支障を来し始めていました。返済が破綻すれば担保の不動産を失い、生活の基盤も無くしてしまうような状態でした。
金融会社数社に相談したところ1社が借り換えによる借金の一本化を提案してくれたので、それに賭けてみることにしました。結果、年率12%で15年返済、毎月の返済額が12万に抑えられたことで無事に返済を継続。不動産を失わずに生活の再建が実現しました。
65歳無職の男性で認知症の診断を受けているため、35歳の長男が成年後見人として登記されています。銀行の住宅ローンとカードローンのまとめ資金として、2,000万円の不動産担保ローンを申し込みました。
物件が近隣商業地域で駅からの利便も良く、駐車スペースも確保されて担保価値が高いため、総額4,200万円と評価。2,000万円の融資なら47%になるため、問題なしということで融資が実行されました。契約者本人に返済原資がないため成年後見人の長男を主債務者とすることで、年率6%、25年返済のローン契約を締結。毎月の返済額は12万9,000円になりました。
おまとめローンとは、多重債務の整理や金利負担の軽減などを目的として、複数の借り入れを1つにまとめる手段を指します。無担保型のおまとめローンもあれば、不動産を担保に設定するおまとめローンもあります。
「不動産担保型のおまとめローン」は、無担保型より金利を抑えやすい可能性が高く、比較的大口の資金調達ができる点が大きな特徴です。
一方で、新たに不動産を担保に差し入れる場合には、担保設定や登記手続きにかかる費用が発生します。また、返済が続く期間中に万一延滞などを起こしてしまうと、担保にした不動産を失うリスクがある点も注意が必要です。
そのため、借り換えやおまとめによって「本当に返済額が減るのか」「手続きの負担やリスクに見合うだけのメリットがあるのか」を確認する必要があります。
インターネット上にはさまざまな金融機関や比較サイトがあり、具体例としてイー・ローンの「不動産担保型のおまとめローン一覧」が参考になります。
以下は、主な商品情報の概要です。
多くの金融機関が、他社ローンの借り換えによって返済負担を軽くできることをアピールしています。金利を引き下げることで、総返済額の圧縮や月々の支払い負担を減らせる可能性があるため、選択肢として十分に検討する価値があります。
金利差が1%以上あり、借入残高が大きい・返済期間が長い場合に有効です。ただし、手数料や担保リスクがあるため慎重な判断が必要です。
不動産担保ローンによるおまとめ・借り換えに関するメリット・デメリットを具体的に挙げ、それぞれの要素を確認する方法や注意点を解説します。あわせて「どのような状況で利用すると効果が高いか」「逆に注意したほうがいいケース」を紹介します。
不動産担保ローンの最大のメリットは、金利の引き下げによって総返済額を削減できる可能性がある点です。高金利の借入れを低金利の不動産担保ローンに借り換えることで、返済総額そのものを抑えられます。月々の返済額や返済期間の見直しにより、家計や事業のキャッシュフローが改善される効果も期待できます。
また、複数のカードローンやリボ払いなどを抱えている場合には、それらを1本化してまとめられる点も大きなメリットの1つです。返済日や金利の異なる複数のローンを、不動産担保ローン1本に統合することで、支払いの管理がシンプルになり、計画的な返済がしやすくなります。
さらに、不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べて金融機関にとってのリスクが低くなり、高額な融資枠が確保しやすい傾向があります。借入額が数百万円〜数千万円規模になるケースもあり、大口資金が必要な場合に有効です。
不動産担保ローンにはいくつかのデメリットがあります。返済が滞った場合には、担保にしている不動産が競売にかけられるリスクがあります。特に自宅や家族の所有物件を担保としている場合は、万が一の事態に備えて慎重な判断が必要です。
初期費用や諸手数料の負担も無視できません。具体的には抵当権の設定や抹消に関わる登記費用、事務手数料、保証料などがかかります。借入額が少額だったり返済期間が短かったりすると、借り換えによる金利差のメリットを費用が打ち消してしまう可能性があります。
審査の手続きにも一定の時間と手間がかかります。特に書類の準備や不動産の評価には日数が必要で、即日融資を求めるような急ぎの資金調達には向いていません。
不動産担保ローンによる借り換えが特に効果を発揮するのは、以下のようなケースです。
複数の高金利ローンを抱えている場合:カードローンやリボ払いなど、無担保ローンでの高金利負担が大きい場合、不動産担保ローンで一括まとめることで、金利負担を大幅に削減することが期待できます。
不動産を相続または譲渡で入手したタイミング:新たに担保にできる不動産がある場合、融資条件が好転し、まとめやすくなります。
収入や売上が拡大して返済能力が向上している場合:金融機関からの評価が高くなり、より有利な金利設定が期待できる状況です。
不動産価格の上昇が見込める場合:所有する不動産の評価が高まれば、担保価値が向上し、より多額の融資が受けられる可能性があります。
不動産担保ローンによる借り換え時に注意したいのは、以下のようなケースです。
現在の返済が既にギリギリの場合:借り換え後も返済が困難になるリスクが高く、担保不動産を失う可能性があるため、綿密な返済計画が必要です。
諸費用とのバランスが合わないとき:金利引き下げのメリットが大きくても、多額の手数料などの費用により、総合的なメリットが薄れてしまう可能性があります。
資金を即日または翌日までに用意する必要がある場合:不動産担保ローンは審査や手続きに時間がかかるため、急ぎの資金需要には向かない場合があります。
不動産担保ローンによるおまとめ・借り換えは、金利の引き下げや返済総額の軽減につながり、特に複数の高金利ローンを抱えている場合に効果的です。返済期間を見直すことで月々の負担も抑えられます。
ただし、登記費用や手数料といった初期費用が発生するため、借入額や残りの返済期間とのバランスを見極めることが重要です。また、返済が滞ると担保不動産を失うリスクもあるため、安定した返済計画が不可欠です。
借り換えの基本的な流れは、金融機関との相談や仮審査、本審査、契約、融資実行、抵当権の変更といった段階で進行します。全体をスムーズに進めるには、事前準備と日程調整が鍵となります。
メリットだけでなくリスクやコストも踏まえた上で、専門家への相談や家族との共有を行い、判断につなげていくことが大切です。
ここでは、大阪に拠点を持ち、個人向けの不動産担保ローンを提供している会社の中から、諸費用無料項目(※1)が多い3社を紹介します。(2021年6月調査時点)
※1.事務手数料、調査料、繰り上げ返済費用、解約金
ビジネスクルー
三鷹産業
SKトラスト